2020年3月25日。前回のリリースから約2ヶ月。iOS 13.4リリースに合わせて、watchOS 6.2(17T529)がリリースされました。
4件の新機能、バグの修正、改善と、17件のセキュリティ問題(CVE)への対応が含まれるメジャーリリースとなります。
更新すべきか否か、変更点、所要時間、導入後の不具合の有無、更新手順についてご紹介します。
ベースとなるOSが同じの、iOS 13.4、関連するiPadOS 13.4、macOS Catalina 10.4もリリースされています。対象機器をお持ちの方は合わせてご確認ください。
watchOS 6.2 更新すべき?待つべき?
今回のwatchOSのアップデートはwatchOS 6.1.2からwatchOS 6.2と2番目の数字が変更となるメジャーリリースの位置づけとなります。
watchOS 6.2では4件の新機能、バグの修正、改善、17件のセキュリティ問題(CVE)への対応が含まれています。
watchOS 6.2にアップデートした方が良い方は次のとおりです。
- watchOS 6以降にアップデートした方
- 最新版を利用したい方
逆にwatchOS 6.2へのアップデートを待った方が良い方は次のとおりです。
- watchOS 5以前をご利用の方
- iOS 12台をご利用の方
- 慎重派の方
個人的にはwatchOSについてはアップデートしても良いと思います。
watchOS 6はiOS 13ベースのため、iPhoneのOSがiOS 13以降の人はwatchOS 6.2にしても良いと思います。
iOS 12台の人はベースとなるOSが食い違ってしまうためアップデートは控えたほうが良いでしょう。
アップデートを検討する場合には2週間程度様子見をするのはアリです。
watchOS 6.2 更新後の不具合について
Apple Watch Series 3 42mmのwatchOSを6.1.2から6.2にアップデートしましたが、次のような不具合・問題は発生していません。
- 起動しなくなる
- 再起動を繰り返す
- 通信しない
- 利用できない
その後も、気になるような不具合・問題は発生していません。
何か見つけた際には適宜更新します。
watchOS 6.2のアップデートのサイズ、所要時間について
watchOS 6.2のサイズ、所要時間は次の通りです。
機種 | 更新前 watchOS | サイズ | 全体 所要時間 | ダウンロード 所要時間 | インストール 所要時間 | 更新後 バージョン |
---|---|---|---|---|---|---|
Apple Watch Series 3 42mm | 6.1.2 (17S796) | 496MB | 81分 | 63分 ※1 | 18分 ※1 | 6.2 (17T529) |
watchOSのアップデートは、
- インターネットからiPhoneへのアップデートファイルのダウンロード
- iPhoneからApple Watchへのアップロード
と2段階のインストールとなるため、インターネット接続環境、iPhone – Apple Watchの通信状況に大きく依存します。
最低1時間半以上、可能であれば2時間程度、iPhoneならびにApple Watchを利用しなくても問題のないタイミングでアップデートを実施してください。
また、watchOSの更新については、
- Apple Watchが充電器に接続されていること
- Apple Watchが50%以上充電されていること
- Apple WatchとペアリングしているiPhoneが同一のWi-Fiに接続されていること
を確認の上、アップデートを行うようにしてください。
watchOS 6.2の更新内容
Watchアプリのソフトウェア・アップデートには次の画面が出てきます。
サイズはApple Watchの機種、現行のバージョンによって変わります。
公式サイト「watchOS 6 のアップデートについて」の「watchOS 6.2」には次のように記載されています。
watchOS 6.2では、4件の新機能、バグ修正、改善が含まれます。
残念ながらwatchOS 6.2でも日本における心電図アプリ、不規則な心拍についての通知への対応は見送られました。
watchOS 6.2
watchOS 6.2には、以下の新機能、改善、およびバグ修正が含まれます:
- Apple Watch AppのApp内課金に対応
- Wi-FiからBluetooth接続に切り替えると音楽の再生が一時停止することがある問題を修正
- チリ、ニュージーランド、およびトルコでAppleWatch Series 4以降の“心電図” Appを使用できます
- チリ、ニュージーランド、およびトルコで不規則な心拍についての通知を使用できます
一部の機能は国や地域によっては利用できないことがあります。詳しくは、以下のWebサイトをご覧ください: https://www.apple.com/jp/watchos/feature-availability/
Appleソフトウェア・アップデートのセキュリティコンテンツについては、以下のWebサイトをご覧ください: https://support.apple.com/ja-jp/HT201222
日本におけるwatchOS 6の対応状況
日本におけるwatchOS 6の機能の対応状況は次のとおりです。
大分類 | 中分類・小分類 | 日本での対応状況 |
---|---|---|
Siri | Siri | ○ |
話せるSiri | ○ | |
Hey Siri | ○ | |
手首を上げて話す | ○ | |
ブランドサービス | 心電図 | ×(非対応) |
不規則な心拍の通知 | ×(非対応) | |
トランシーバー | ○ | |
News | ×(非対応) | |
指書き入力 | ×(非対応) | |
音声入力 | ○ | |
学生証 | ○ | |
空気質指標 | ×(非対応) | |
VoiceOver | ○(日本語) | |
海外における緊急通報 | ○ | |
Apple Music | Apple Music | ○ |
オーディオブック | オーディオブック | ○ |
Podcast | Podcast | ○ |
Apple Pay | Apple Pay | ○ |
アプリケーション内での支払い | ○ | |
Appleのマップ | 経路案内:この周辺 | ×(非対応) |
経路案内:経路の統合 | ○ | |
経路案内:ターンパイターン | ○ |
watchOS 6.2セキュリティアップデートについて
公式サイト「Apple セキュリティアップデート」の「watchOS 6.2 のセキュリティコンテンツについて」には次のように記載されています。
watchOS 6.2では17件のセキュリティの問題(CVE)に対応しています。
watchOS 6.2
2020 年 3 月 24 日
ActionKit
- 対象となるデバイス:Apple Watch Series 1 以降
- 影響:アプリケーションが、プライベートフレームワークから提供された SSH クライアントを使用できる可能性がある。
- 説明:この問題は、新しいエンタイトルメントによって解決されました。
- CVE-2020-3917:Steven Troughton-Smith 氏 (@stroughtonsmith)
AppleMobileFileIntegrity
- 対象となるデバイス:Apple Watch Series 1 以降
- 影響:アプリケーションが任意のエンタイトルメントを使用できる可能性がある。
- 説明:この問題は、チェックを強化することで解決されました。
- CVE-2020-3883:Linus Henze 氏 (pinauten.de)
CoreFoundation
- 対象となるデバイス:Apple Watch Series 1 以降
- 影響:悪意のあるアプリケーションに権限を昇格される可能性がある。
- 説明:アクセス権の問題がありました。この問題は、アクセス権の検証を強化することで解決されました。
- CVE-2020-3913:Avira Operations GmbH & Co. KG の Timo Christ 氏
アイコン
- 対象となるデバイス:Apple Watch Series 1 以降
- 影響:悪意のあるアプリケーションが、ユーザがインストール済みのほかのアプリケーションを識別できる可能性がある。
- 説明:アイコンのキャッシュの処理を改善することで、この問題に対処しました。
- CVE-2020-9773:Zimperium zLabs の Chilik Tamir 氏
アイコン
- 対象となるデバイス:Apple Watch Series 1 以降
- 影響:代替の App アイコンを設定すると、写真へのアクセス許可を必要とすることなく写真が開示される可能性がある。
- 説明:サンドボックスの制限を追加で設けて、アクセス関連の脆弱性に対処しました。
- CVE-2020-3916:Vitaliy Alekseev 氏 (@villy21)
画像処理
- 対象となるデバイス:Apple Watch Series 1 以降
- 影響:アプリケーションにシステム権限を取得され、任意のコードを実行される可能性がある。
- 説明:メモリ管理を強化し、解放済みメモリ使用 (use-after-free) の脆弱性に対処しました。
- CVE-2020-9768:Mohamed Ghannam 氏 (@_simo36)
IOHIDFamily
- 対象となるデバイス:Apple Watch Series 1 以降
- 影響:悪意のあるアプリケーションにカーネル権限を取得され、任意のコードを実行される可能性がある。
- 説明:メモリ処理を強化し、メモリ初期化の脆弱性に対処しました。
- CVE-2020-3919:匿名の研究者
カーネル
- 対象となるデバイス:Apple Watch Series 1 以降
- 影響:アプリケーションが、制限されたメモリを読み取れる可能性がある。
- 説明:メモリ処理を強化し、メモリ初期化の脆弱性に対処しました。
- CVE-2020-3914:WaCai の pattern-f 氏 (@pattern_F_)
カーネル
- 対象となるデバイス:Apple Watch Series 1 以降
- 影響:悪意のあるアプリケーションにカーネル権限を取得され、任意のコードを実行される可能性がある。
- 説明:ステート管理を改善し、複数のメモリ破損の脆弱性に対処しました。
- CVE-2020-9785:Qihoo 360 Nirvan Team の Proteas 氏
libxml2
- 対象となるデバイス:Apple Watch Series 1 以降
- 影響:libxml2 に複数の脆弱性がある。
- 説明:配列境界チェック機能を改善することで、バッファオーバーフローに対処しました。
- CVE-2020-3909:LGTM.com
- CVE-2020-3911:OSS-Fuzz により検出
libxml2
- 対象となるデバイス:Apple Watch Series 1 以降
- 影響:libxml2 に複数の脆弱性がある。
- 説明:サイズ検証を強化し、バッファオーバーフローに対処しました。
- CVE-2020-3910:LGTM.com
メッセージ
- 対象となるデバイス:Apple Watch Series 1 以降
- 影響:ロックされた iOS デバイスに物理的にアクセスできる人が、返信が無効になっていてもメッセージに返信できる可能性がある。
- 説明:ステート管理を改善し、ロジックの問題に対処しました。
- CVE-2020-3891:Peter Scott 氏
WebKit
- 対象となるデバイス:Apple Watch Series 1 以降
- 影響:悪意を持って作成された Web コンテンツを処理すると、任意のコードを実行される可能性がある。
- 説明:メモリ処理を強化し、メモリ破損の脆弱性に対処しました。
- CVE-2020-3895:grigoritchy 氏
- CVE-2020-3900:Venustech の ADLab に協力する Dongzhuo Zhao 氏
WebKit
- 対象となるデバイス:Apple Watch Series 1 以降
- 影響:悪意を持って作成された Web コンテンツを処理すると、任意のコードを実行される可能性がある。
- 説明:メモリ処理を強化し、型の取り違え (type confusion) の脆弱性に対処しました。
- CVE-2020-3901:Benjamin Randazzo 氏 (@____benjamin)
WebKit
- 対象となるデバイス:Apple Watch Series 1 以降
- 影響:リモートの攻撃者によって任意のコードが実行される可能性がある。
- 説明:メモリ処理を強化し、型の取り違え (type confusion) の脆弱性に対処しました。
- CVE-2020-3897:Trend Micro の Zero Day Initiative に協力する Brendan Draper 氏 (@6r3nd4n)
ご協力いただいたその他の方々
FontParser
- Google Chrome の Matthew Denton 氏のご協力に感謝いたします。
カーネル
- Siguza 氏のご協力に感謝いたします。
LinkPresentation
- Travis 氏のご協力に感謝いたします。
電話
- Yiğit Can YILMAZ 氏 (@yilmazcanyigit) のご協力に感謝いたします。
rapportd
- ダルムシュタット工科大学の Alexander Heinrich 氏 (@Sn0wfreeze) のご協力に感謝いたします。
WebKit
- Google Project Zero の Samuel Groß 氏、hearmen 氏のご協力に感謝いたします。
- 2020 年 4 月 4 日に更新
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公開日: 2020 年 04 月 13 日
watchOS 6.2へのアップデート手順と確認方法について
watchOS 6.2へのアップデート手順
watchOS 6.2へのアップデート手順は次のとおりです。
Apple WatchとペアリングしているiPhoneで【Watch】アプリをタップし起動します。
マイウォッチ画面で画面をスクロールし【一般】をタップします。
一般画面で【ソフトウェア・アップデート】をタップします。
ソフトウェア・アップデート画面で「watchOS 6.2」であること、また、ダウンロードサイズを確認し、【ダウンロードとインストール】をタップします。
Apple Watchへのアップデートファイルのダウンロードが完了すると、「インストール」と表示されるため、【インストール】をタップします。
あるいは時間が経つとそのままインストールが続行されます。
パスコードを入力します。
「確認中…」
「インストール中…」に変化し、、、
「watchOS 6.2 お使いのソフトウェアは最新です」と表示されます。
このとき、実際のApple Watch上では、まだインストールが進行中で完了していませんのでご注意ください。
watchOS 6.2にアップデートされたことの確認
Apple Watchに時計のフェイスが表示されればwatchOS 6.2へのアップデートは完了しています。
iPhoneやApple Watchでアップデートされたことを確認するには次の手順で確認します。
iPhoneのWatchアプリでの確認
ソフトウェア・アップデート画面に「watchOS 6.2 お使いのソフトウェアは最新です。」と表示されることを確認します。
一般に戻り【情報】を選択します。
情報画面の「バージョン」に「6.2 (17T529)」と表示されることを確認します。
Apple Watchの「設定」アプリでの確認
Apple Watchの「設定」アプリでもwatchOS 6.2にアップデートされたことを確認できます。
一般に戻り、【ソフトウェア・アップデート】を選択します。
「Apple Watchは最新です。」と表示されることを確認します。
一般に戻り、【情報】を選択します。
Apple Watchの画面をスクロールし、「バージョン」に「6.2 (17T529)」と表示されることを確認します。
おわりに
前回のリリースから約2ヶ月。ベースとなるiOSの更新に合わせてwatchOSもリリースされました。
watchOSの更新は2時間ぐらいはかかるので、時間が十分あるときに行うようにしてください。
では、今回はこの辺で。